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心跳還在 ![]() ![]() ![]()
ナルトは最近気になっていた。 カカシが“いつものカカシ”じゃないことに。 自分は何かしたのだろうか?と考える。 思い当たることはたくさんあった。 ラーメンを奢れとしつこくせまったことだろうか? 先生の家に遊びに行かせろとせがんだから? 任務の内容にいつも不平不満ばっかり言っているから呆れられた? 思い当たることはたくさんある。 だからナルトは不安になっていくのだった。 今日の任務の内容も期待損だろうが、ナルトは不満を口にしないと決めた。 いつものように遅刻をしながらカカシが任務内容を告げる。 今日の任務は草取り。 もちろんその任務内容に対し7班は抗議する。 「先生、そんなの忍じゃなくたって出来るわ!」とサクラ。 「右に同じだ・・・」とサスケ。 いつもならば、一番先にわめきたてるナルトが今日は何も言わない。 「おいドベ、お前も何か言えよ」 さすがに驚いたのか、サスケがナルトに同調を求める。 ナルトも腹の中では2人と同じ思いだった。 だがナルトは何も言わずに「草取り、やるってばよ!」と立ち上がった。 「ナルト?アンタどうしちゃったのよ?!先生、ナルトが変です!」 ひどい言い様であるが、サクラなりにナルトのことを心配しているらしい。 「何言ってんだってばよーサクラちゃん」 ナルトは笑ってみせる。 黙って見ていたカカシは「ま!いい傾向だよね」と本を拡げた。 ナルトは無心で草をとる。 爪に土が入っても、草をとり続けていた。 (くそ!くそ!ぜんっぜん変わんないってばよ・・・) 任務に不満を言わないで、いい子にしていればカカシの態度は変わると思ったのに。 サクラやサスケには普通に話しかけて笑っているのに、どうして自分だけ? 子供はそのような小さなことでも気付いてしまうのである。 ふと前を見ると、岩の上に座って読書をしているカカシがいた。 もやもや悩んでいるなんて自分らしくない! そう思ったナルトはカカシに近づいていく。 「カカーシセーンセ?」 夢中で本を読んでいたらしく、カカシはナルトに声をかけられるまで視線を本に落としたままだった。 「センセー上忍だろ?途中で気付くかと思ったってばー」 「あぁナルトか」 ナルトだということを確認したカカシは、すぐにまた視線を下げる。 「なあ!なあ!今日さ、オレさ任務に何も文句言わなかったってば」 前のように「はいはい偉い偉い」と褒めてもらいたくて。 ナルトは返事を期待した。 「当たり前デショ?最初はこんなものだよ」 帰って来た返事は冷たい。 「やっぱりさーセンセーさあ」 「何よ?早く草取りやっちゃいなさい」 カカシは全くナルトを見ない。 「オレへの態度が変わったってばよ・・・」 「そんなことないよ、フツーフツー」 さっきから話を聞こうともしていないカカシにナルトはイラついた。 こんな大人がいるだろうか。 こんな教師がいるだろうか。 ナルトはカカシの胸倉を掴んだ。 「フツーじゃねえんだってばよ!オレ・・・前のほうの先生のほうが好きだったってば!」 吐息が聞こえるほどの距離。 カカシは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐにナルトの肩を手で押す。 「うるさいよ、オマエ」 やっぱりカカシは、変わった。 任務が終わると、カカシは何か奢ってやると言い出した。 「はいはいはーい!アイスがいいわ」 アイスは間食にいいのだとどこかの雑誌で見たのか、サクラが提案をする。 「アイスねえ・・・俺も食べたいしアイスにしようか」 カカシはにこりと笑う。 さっきのことでナルトは元気をなくしていた。 カカシの笑顔なんてどれくらい見ていないだろう。 サクラにもサスケにも笑ってくれるのに、どうして? 「ナルト、今日は売れちゃってアイスが3つしかないんだって」 いつの間にか自分たちは店の前まで来ていたらしい。 ナルトは無意識に歩いていたので、気付かなかった。 アイスは3つしかない。 ここにいるのは4人である。 「・・・チッ」 サスケも内心楽しみにしていたのか、舌打ちをした。 「先生も食べたいなあ〜」 「先生、大人気ないですよ」 正直ナルトは食べたいような気分ではなかった。アイスなんてどうでもいい。 「オレ、いらない!みんな食ってくれってば」 無理に笑った。 「大丈夫?!アンタ今日ちょっとおかしいわよ?」 ナルトらしくない発言は今日で2回目である。 「大丈夫!ほら早く買ってもらえってばよ」 ナルトは手でサクラを追いやった。 「でもちょっとくらい食べたら?元のナルトに戻るかも!」 アイスを受け取りながらサクラはなおも言う。 「いいってば!な?」 サクラの気持ちは嬉しいが、本当にナルトは食べたくないのだ。 「そうだ、カカシ先生のを1口貰ったら?」 「「はぁ?!」」 カカシとナルトは同時に声を上げる。 「どうせ先生はどっか行って食べるんでしょ?顔を見られたくないんだから」 「ばっばかサクラ何言ってんの・・・なんで1口あげるって・・・そんな・・・」 カカシは何故か慌てはじめる。 「いいからナルト1口貰っちゃいなさい」 サクラがナルトをカカシの前へ押し出すとカカシは後ずさりをし、手からアイスを落とした。 「・・・・・落ちちゃったじゃないの先生ッ!」 上忍のくせにドン臭いところを見せられ、サクラは罵声を上げる。 「もしかしてオレのせい?」 ナルトは責任を感じてしゃがんでしまったカカシにたずねた。 「そうだよオマエのせいだよ・・・ったくオマエが食べるとか食べないとか意味わかんないこと言うから」 カカシは先ほどと同じように、顔を上げずに返事をした。 「ごめんってば・・・まさか落とすとか思わなくて・・・」 ますますこれからのナルトに対するカカシの態度が悪くなるだろう、とナルトは思った。 ナルトの謝罪には答えずカカシは「明日は休みだから」と言い残して、姿を消した。 |