なぜボクがあの子の顔の別人と一緒に道を歩いているのだろうか…。
思えば大好きなあの子の家に向かう途中で、再会してしまったからなんだけど…
直接的な面識が無かったボク達がこんな風に隣を歩いてるなんてあの子が知ったらどんな顔するかな
彼は町の人ごみの中で異様な雰囲気を放っていた。
++攻防合戦++
「あ、おーい!!そこのおにーさん!!アンタだってばアンタ!!」
声をかけられた不二が思わず振り返る。
自分に向けてだろうか、ブンブンと大きく手を振る人物に彼の瞳が一瞬開かれた。
「彼は…」
見間違いではないかとしばらく手を振る人物を見ていると、ヤツは話していた女の子達に何事か告げ悠々と不二の前へと歩いてきた。
「引き止めて悪いな。俺の人違いじゃなけりゃアンタ、この前会ったよな。青学の…」
「不二周助。人違いじゃないよ。キミの方こそこんなところでどうしたのかな?越前…リョーガ君」
不二が微笑をたたえながら見上げればリョーガは困った風に頭を掻いた。
「やー本当悪いな。送ってもらっちゃってさ」
「いや…。キミこそこんな日本の不慣れな土地でいろいろと大変だったんじゃない?」
住宅街の路地を二人が並んで歩く。
リョーガの歩幅が大きいのか不二より少し前に出がちだ。
「俺?別に不慣れってわけじゃねーぜ?日本語だって小さい頃習い済みだろ。それに何度も日本に八百長テニスしに来た事あるしよ」
「やお…ってこの前だけじゃなくて?」
驚いた風な表情を見せる不二にリョーガが苦笑いを漏らす。
「まぁ、アンタみたいな坊ちゃんにはわかんねーかもしんなけどよ、生きる為にはいろいろ姑息な手もつかわなきゃなんないわけよ。
俺は昔越前家に居た。で、家を飛び出して宛もなく彷徨ってたら桜吹雪のおっさんに…」
「その事は…リョーマ君に聞いたから知ってるよ」
リョーガが少し眉を上げて意外そうに不二を見た。
「へぇ、チビスケってば意外にお喋りちゃん?」
「いや…ボクだったから言ってくれたんじゃないかな。平生の彼は至って無口だよ」
にっこり笑う不二に一瞬間がありつつもリョーガが何かを察したように含み笑いを返した。
「…んでまぁ、桜吹雪のおっさんがあんな事になったからしばらくの間責任取ってもらって居候させてもらおうかなーって」
「責任取ってもらうっていうのは随分と心外だねー。じゃあ、これからどうするつもり?」
「これからなんてまだ何にも…とりあえず今は南次郎に会うのが少し怖かったり。何せ10年ぶりだろ?しかも別れが方がアレだったから何言われるか…」
苦笑しながら前髪を掻き上げるリョーガの仕草を不二はそれとなく眺める。
その視線に気付いたのかリョーガが「何か?」と首を傾げた。
「あ、ごめん。何でも無いんだけど…将来のリョーマ君を見てるみたいでちょっと不思議な光景だなって。キミ達顔そっくりじゃない?だからちょっと見惚れちゃったよ」
クスクスと笑いながら不二が答える。
見惚れるなんてサラリと言われて、リョーガは参った。といった風に顔をしかめた。
「そんな事言われても俺はリョーマじゃないし。俺としてはアンタさんのがよっぽど美人で見惚れちゃいそうなんだけど?チビには勿体無いな」
「…駄目だよボクに惚れちゃ。やっぱり兄弟だと好みまで似てるのかな」
攻め同士…いや、兄と恋人の会話は腹の探りあいとでも言ったところか。
「男同士だぜ?」
「アメリカ産のキミなら少しは理解あるかと思ったよ。ボクは好きになった人と付き合ってるだけ。性別なんて愛があれば何でもない問題だと思うけど」
リョーガが声を上げて笑い出した。
不二はいつものように微笑を湛えたままだ。
「あぁ、そうか。アンタ日本男子にしては珍しい考え方だな。チビ助が懐くのもちょっと頷ける気がすんぜ」
「それはどうも。ボク達は一応学校では公認だと思うよ?」
「で、どっちが上よ?」
「あー…僕。当然だけど」
「マジかよ!?あのチビスケが!?アンタ受け側じゃねーのッ!?」
「残念だけどね。リョーマ君は可愛いよ?ついつい悪戯が過ぎちゃうぐらい…」
「まぁ、分かるけど…。じゃ、どこまでいったのかお兄さんに教えてv」
「キミとボクは同い年のはずだけど?」
会話の内容に似合わず楽しそうな二人の顔。
腹の探り合いがそんなに楽しいものなのか。
「やっべー、俺アンタ気に入ったかも。チビスケなんてやめて俺んとこ来ない?」
「駄目。遠慮しておくよ」
顔は同じでも、リョーガじゃリョーマの代理は出来ないんだから。
不二が微かに表情を緩める。
しかし、それで簡単に引き下がるリョーガでもない。
「まぁまぁ、遠慮しないでさ」
「ちょっと…」
歩を止めたリョーガがすかさず隣にいた不二の手首を掴んだ。
そのまま腕を上へと持ち上げられ、抱かれそうになると分かると流石の不二も慌てた様に目を開いた。
…のだが。
「周助ッッッ!!!!」
同時に鋭い声が飛んだかと思うとリョーガの短い悲鳴。
「周助無事!?この変態に何かされなかった!?ってアンタも十分変態だけどさ!」
「リョーマ…一言多いよ。それに迎えに来てくれたんだね?」
リョーマは不二にギュッと抱き付き、その胸に顔を埋める。
わざわざ迎えにきてくれた恋人が愛しくて、不二はリョーマの頭をそっと撫でた。
二人の世界に入りそうになるところを、うずくまって痛みに堪えていたリョーガの咳払いで止められる。
「おい…チビ助…背後からなんて侍の風上にもおけねーぜ?」
「うっさい。っていうか何でアンタが居んだ」
リョーガがよろりと立ち上がり、リョーマは不二の胸からチラリと冷めた視線を送る。
「居たら悪いかよ?」
「悪い。オレは別にアンタには用無いし」
兄弟の間に火花が散った気がした。
そんな兄弟の再会に不二が苦笑しながら今までの経由を説明する。
「…ふーん。で、またオレん家来るって?はぁ…冗談も休み休み言えば?誰がアンタなんか…」
「それを決めるのは南次郎だろ?それに俺行くトコねぇからよ、駄目だったら駄目で不二ん家行くしかねぇじゃん」
「「は!?」」
不二とリョーマの声が見事に重なった。
何か最後にサラリとリョーガが言ったような…
「え…待って…ボクの家?」
「駄目駄目っ!!周助の家にアンタなんて絶対上がらせないかんな!!」
「それが嫌だったら家まで連れてけってんだ。なぁ、不二は俺の事泊めてくれるよな?」
不二が思わぬ質問に躊躇していると、リョーマの顔がみるみる不機嫌そうに変る。
「ちょっと!こんなの泊めたらどうなるか分かってんの!?」
「どうなるか是非聞きたいねぇ…」
形勢逆転、今度こそ余裕の笑みを湛えるリョーガをリョーマはキッと睨みつける。
「アンタは黙ってろ!」
「黙ってろって言われて黙るバカはいないぜ?まぁ、不二ん家に行ったら……ただじゃすまないかもなぁ」
リョーガの言葉に顔色を変え、リョーマが詰め寄る。
「…な、何だよそれ!?帰れ!周助に近付くな!!」
「帰れるもんなら帰ってるっつの。あぁ、俺、周助君好きになっちゃったみたいだからそれは無理なお願いかも〜」
「…!?な、だ、駄目!周助はオレの恋人なのッ!」
「今はだろ?今。ナ・ウ。これから先の事は分かんねーもんだぜ?」
「ね…二人ともちょっとは落ち着いて話を…」
だんだんと収拾がつかなくなりそうな話の内容になってきた。
リョーガを正面から睨みつけるリョーマの肩に落ち着かせようと手を置く。
不二の意見はまったく無視か。
不二としては二人もの美少年が自分の事で喧嘩しているのは嬉しかったりするのだが…
「周助はオレの事が一番好きだよね!?」
突然振り向いたリョーマが再び不二の腰へぎゅっと抱き付く。
「あ、うん。勿論」
ようやく自分に話が向いていささか反応が遅れる不二。
リョーガがすかさず前に出る。
「でも俺もまんざらじゃねぇだろ?どう?チビスケより大人の恋愛楽しんでみない?」
近寄ったリョーガが、不二の顎を掴んで上向けさせる。
腰に絡みつくのは弟のリョーマ。
今、無理矢理見つめさせられているのは(義)兄のリョーガ。
不二の体がフルフルと震え出した。
「あぁ…もう駄目…ボク、幸せ過ぎて我慢出来そうにない…よっ」
暗転。
以下何が起こったかという想像は読者の皆様に任せるとしよう。
完。(むしろ強制終了)
*あとがき*
思いの他長くなったので終了したと思われる携帯のマガ配信作品です。沢山手直ししました…。まだ不満だが。
リョガ→不二リョ。これ書いててリョガ不二いいねぇって思ったんだと思います(笑)
相方ちゃんが面白いって言ってくれて、絵を書いてくれたんだが…!載せたい!激しく載せてみせびらかしたい!!はぁはぁ!
検索かけたら不二リョガはぼちぼちひっかかった。リョガ不二は何か沢山ひっかかりましたね!
不二受け様が好んで書いていらっしゃるようで…。
いや、でも私は受け臭い受け不二には興味ないんで理想の小説には辿りつけなかったんですがね。
攻め臭い受け不二は読めます。腐っても不二の性格は攻めでしょう。腹黒でしょう!?(爆)
で、小説では不二先輩が受けっぽくならないように意識したら大変な事に!笑うしかない!
不二先輩は二人のリョに愛され囲まれなんておいしい役なんだろうか…!!むしろ私と代われよ!
ちなみに、リョガ不二リョガとかで検索したところ、私が長年シークレットにしてたオエビがひっかかかった。
…まぁ、何も言わないが。リョガ不二リョ誰も書いてないんですか。(不二vsリョガ)リョも大好物だが!
仲良くやって欲しいっつのが私の本音だったりする。
そして、これはまだ続く…んです。よね?ふーかさん?(聞くな)
write:05/03/某日
up:05/07/10