暑い。今となっては、暑いと言ったら暑さが増しそうで言いたくない。こんな日は、冷房(もちろん28度設定だ)の効いた応接室で昼寝してるのが一番だ。なのにだ。なぜか僕はバイクを走らせている。後ろの荷台には、先日観てきたという映画の主題歌を口ずさむ。ぽーにょぽにょぽにょさかなのこー!ちょ、声大きくて恥ずかしいだけど。えっと確か、ここを右に曲がるんだった。僕がハンドルを大きく右に切ると、わっ!と声がして、腰に回っている細い腕が強く締め付ける。半袖のワイシャツに、じんわりと汗が滲んだ。


「わー、オーシャンビュー」
「、なにナチュラルに靴脱いでるの」
「だって海入るし」
「泳ぐの」
「足だけ入るの」


にこにこしながら海と戯れているは、あれに似ている。故郷に帰ってきて、思い出の地で思いを馳せている草食動物に。まぁ、生物は皆海から生まれているし、強ち間違っている訳ではない。それに、なら突然「海に帰る」とか言い出しそうだ。もし言い出しても、僕が全力で止めるけどね。


「帰る」
「どこに」
「え、普通に学校」
「(びっくりした、)」
「雲雀?」
「僕の側離れないでよね」
「?」

夏が僕らを追いかける

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