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「坂のぼりまーす降りてくださーい」
「イヤでーす」
「じゃあ立つから、手ぇ放して」
「イヤー」
「ちょっと、のぼれないじゃん」
「のぼれるよー頑張れ頑張れ」
「大体アンタが乗せてって言うから、2ケツしてんだよ」
「だってー、歩いて帰るの面倒だもん」
「歩いて帰れよぉ。大した距離じゃないじゃーん」
「この坂があるからイヤなんでしょ。ホラ頑張って頑張ってー」
「今アタシがのぼれてんの奇跡だよ!これ奇跡だからね!」
「わーすごーい。あんたタフだね」
「伊達に毎日乗ってないってーのーっ」
「わ!まじでのぼった!って、ちょっと!」
「なにー?」
「曲がるなら曲がりまーすって言ってよ、落ちるかと思った!」
「はぁ?落ちろよ。超重い」
「しっつれー!あんたより軽いっての」
「何キロよ」
「……50くらい」
「アタシ48だし」
「まじで!信じらんない!最悪ー今年イチのショックー」
「うるさいなー後ろ倒れないでよ、余計重い」
「あ、信号無視した」
「どうせ車なんか来ないって、こんな田舎道」
「ほんっと田舎だよねーここ。あ、そういえばさ、ハッチ先輩、東京の大学受かったって」
「えっ……まー、頭イイもんねあの人」
「いーのぉ?ハッチ先輩遠く行っちゃうよー」
「何で。別に、関係ないし」
「ふうん……」
「……」
「……ねー」
「なに」
「あたしらさぁ、大人になったらどうなってんだろうね」
「知らないよそんなの」
「でもさーあんたはさー頭イイからさー」
「アンタがバカなだけでしょ」
「卒業しても会うのかなーあたしら」
「成人式には会うんじゃない」
「遠っ!ねぇ、迎えに来てよあたしんちまで」
「はぁ?何で。自転車で?」
「その時には免許取っといてー」
「たまにはアンタが乗せてよね……やっぱいい、アンタの運転超怖そう」
「なにそれ」
「どうでもいいけど、ほら、もう着くよ家」
「……ねー」
「なに」
「コンビニ行きたい。ガリガリくんおごってあげるからさ」
「そんなんばっか食べるから太るんだって」
「じゃーパピコ。半分こしよ」
「……曲がりまーす」
「やった!」


いつかのふたり


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