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みんなそっくりだそっくりだと言っているけれど、その実この2人はあまり似ていない。






、セラヴィーの左腕に違和感があった。
整備を頼む」
「ああ……わかった、原因から探すから時間がかかるかもしれないが構わないか?」
「次の出撃に間に合えばいい。
間に合わせられるか」
「最初から間に合わせるつもりのくせによく言う」
「すまないな」

ふっと笑みをこぼし、ティエリアは私の肩を叩いていった。
まったく年月と人間は怖い、と端末を開きながら思った。
4年……いや、旧ソレスタルビーイングが動く前だからおよそ6年は前か。
その頃のティエリアときたら笑うどころか人と会話さえしなかったのだ。
それが今では笑うし(軽いものだが)スキンシップもするし、何より人と会話ができるようになっている。
ロックオンの影響とはこれほどまでに大きいものなのか、この4年で彼自身が人として成長したのか、どちらなのかは私の知るところではない。
…しかし、何か忘れているような気もする。
セラヴィーのデータをチェックしながら独り首をかしげた。
はて、何を忘れているのか。

「あー…っ…ったく、教官殿は厳しいねえ」
「ロックオン、オツカレ!
ロックオン、オツカレ!」
「おお、まったくだ」

時間にして数分。
ちょうど15%ほどを処理したところでケルディムのハッチが開いた。
ああ、そうだこの男を忘れていたのだ。
そういえば丸くなったティエリアがどぎつく当たる男がまだいた。
沙慈・クロスロードが相手でもあの調子だし、なるほど単に旧ソレスタルビーイングの面々に気を許しているだけのことか。

「ハロ、さっきのケルディムのシミュレーションデータ、そこに転送して」
「リョウカイ! リョウカイ!」

ぽんぽんと跳ねながらやってきたハロがうっかりこちらのデータに上書きしないよう先手を打ち、続きをやる。
28%のところで動作不良の原因と思われる文字を見つけた。
念のため旧データのバックアップを取り、その部分を正しく書き換える。

「テンソウシュウリョウ!
テンソウシュウリョウ!」
「お疲れハロ。
ついでに整備を手伝っていってくれるか」
「モチロン! モチロン!」
「それで、ロックオン。
いつまでそこに突っ立っているつもりだ」
「あ、いや…悪いな、あんたみたいな美人が整備士ってのにどうも慣れなくて」
「口だけは達者だな……ティエリア、後でセラヴィーのチェックを頼む」
『早いな、さすがだ』
「いや、思ったより早く見つかっただけだ」

通信回線を切り、ハロにデータ転送を頼んだ端末と持ち替える。
今回のシミュレーションデータにさっと目を通し嘆息した。
ああ、やはりロックオンとこの男は似て非なる人間だ。
このシミュレーションデータ一つとってもそう。
例えばロックオンは地形やGNフルシールド、さらには敵の機体をうまく活用して最小限の動きでの狙撃をしていた。
ハロのサポートあってこそだが、動きが小さいから照準がずれにくく素晴らしい命中率を誇っていた。
モビルスーツならではの戦い方だ。
対してこの男は回避運動が大げさだ。
いちいち機体を大きく動かして避ける。
だから機体はぶれるし照準もずれやすい。
回避運動はハロに任せておけば万全のコンディションで狙撃ができるのに、攻撃を全て自分で避けようとするからこうなる。
こちらは生身での戦い方に近い。

「ロックオン、機体に違和感は?」
「わからん、強いて言うなら照準が合わせづらいってとこぐらいだな。
何しろモビルスーツで狙撃なんてやったことがないんでね」
「照準か……なるほど、確かに命中率は要求水準より多少低い」
「要求水準が高ぇんだよ」
「世界に喧嘩を売るのに、妥協が必要か?」
「…いいや、アロウズの連中をぶっ飛ばすには確かに妥協なんてしてる余裕ねぇな」

ロックオン・ストラトスは沈黙の後に答えた。
しばし考え込むように顎に指を添える。

「なあ、…だったよな」
「そうだ」
「どういう訓練をすれば回避と攻撃の精密度が上がるか、知らねぇか」

そう言って私を見つめる目は真摯だった。
これも、違う。

「…まあ、そうだな…」
「勿体ぶんなよ」

ロックオンは回避をハロに任せ、自分は砲撃に集中した。
だがこの男は回避も砲撃もそのどちらも自力で高みへと上ろうとしている。
これは差異であり美点だ。
他を信じず己のみで上を目指す。
いつ死ぬかわからない戦場において、人を信頼しすぎるのはいいことばかりではない。
ふざけているようでこの男、なかなかどうして侮れない。

「ハロにまず回避を5割任せることだ。
それで水準を20%上回り、かつそれが安定したら4割、3割とハロへの分担を減らせばいい。
ケルディムはその特性上回避と攻撃を1人で行うには負担が大きい機体なのだから無理はするな。
ケルディムもハロも、お前を裏切らない」
「…了解」

人は死ねば戻らないが機械の復元は容易い。
それを知った上でAIに頼るか否か、あるいは自らの限界を知るのが早いか遅いか、まったくこの双子はこと戦闘になると差異が明らかになるのだから面白いものだ。

、もう1回シミュレーションやってもいいか」
「ああ、構わない」

ぎらつく双眸が私を射抜く。
隠そうともしない熱が燃え上がる。

「数分だけ待ってくれ。
お前の身体データと機体とのリンクをもう少し強化する」

これだから、整備士はやめられない。






整備士とプログラマの違いがあんまりわかりません。
とりあえずこの子はどっちもできる子。
ニールと付き合ってたから些細な仕草の違いでも別人だってわかるよ、っていうのはわりとよく見る気がしたので整備士の観点から、シミュレーションやミッションレコードの様子、戦い方、機体のパーツ消耗なんかで違いを見分けるよーっていうのを書きたかったんですがもはや何のこっちゃ……。
機械の整備だとかは詳しくないのでリアルに書けません。
悔しいなー。